かつて亘理では、なにか贈りものをするとき、着物の残り布で仕立てた「袋」に入れていました。特定の呼称はなく、「ふくろ」がなまって「ふぐろ」と呼ばれていたといいます。
亘理町立郷土資料館で働いていた引地恵さんは、被災した呉服店に処分予定の大量の着物があると知り、町のおばあちゃんたちから聞いた古い習わしを思い出しました。
感謝の気持ちを込めて手づくりすること、ものを大事に使うこと。根底にある想いはそのままに、新しい発想を加えて現代風にアレンジし、再び人々のあいだで回っていくものがつくりたい——ふぐろはお洒落な巾着袋『FUGURO』として生まれ変わりました。
「昔の風習や手仕事の技法を守り伝えるためには、資料館で展示や講座を開くこともひとつの方法。一方、産業として成り立てば、人から人へ自然と受け継がれるものに なる。両方のアプローチが必要だと思います」——いつの日か、FUGUROが亘理の伝統工芸品になる日が来るかもしれません。
「WATALIS」は宮城県亘理町の「WATARI」と“お守り”という意味の「TALISMAN」を組み合わせた造語です。“感謝し合う価値観” “職人の技” “優れた再生文化”、こうした日本の伝統や文化を一つひとつの商品に縫い込んで、お守りのように大切に人から人へ手渡していきたいという思いが込められています。私たちは、宮城県亘理町に拠点を置き、アップサイクルによる伝統文化の伝承と発信を続けていきます。
───── WATALIS一同